睾丸腫痛
この症例は最初西洋医に急性精巣上体炎と診断され、消炎剤を投与されたものの、腫れと痛は改善しませんでした。劉渡舟の診断は癃疝でした。これは清代の医学書『医宗金鑑』で七疝の1つに挙げられるもので、「少腹痛引陰丸、小便不通者」とあり、小便が出なくて下腹部が痛み睾丸が引きつる病態とされます。その原因は肝気鬱滞で、このために任脈と肝経の経絡の運行が閉阻し、三焦に水が行き渡らず、膀胱で気化できず、睾丸が腫脹します。そして下腹部に痛みが拡がり、小便が出にくくなります。 治療に茵楝五苓散去葱白、青塩に木通、天仙藤、青皮を用いました。茵楝五苓散は猪苓、白朮、茯苓、桂枝、小茴香、川楝子、葱白、青塩から成り、疏肝利湿、通陽利水の効果があります。1日で痛みが軽くなり、3日で小便がちゃんと出るようになり、7日で完治しました。