自由への長い道
ネルソン・マンデラが大統領に就任して間もない頃に日本語版が出版されました。逮捕されて終身刑が課される直前の活動内容の箇所を繰り返し読みましたが、どうして南ア政府がテロリストとしたのか判然としなかったと記憶しています。反政府活動の軍事的リーダーはテロリストなのでしょうか。テロという言葉の多義性を考えさせられます。「テロ」を法律の中に入れるのはやはり適当でないと思います。
「パピヨン」「イワン・デヴィーソニチの一日」「復活」、いずれも牢獄や強制収容所を舞台とした小説です。本意ではなく国家権力によって獄につながれる人間の行き場のない絶望的な心情は、縁のない私にとってははかりしれないものがあります。
長期間の幽閉は人間の心理にどのような影響を与えるのでしょう。「モンテ・クリスト伯」は脱獄後、復讐に余生を費やしました。「レ・ミゼラブル」で、マドレーヌと名を変えたジャン・ジャルバンは前科をひた隠しに隠し、発覚を怖れて過ごしました。
ロベン島の監獄でネルソン・マンデラは何を思ったでしょう。
長期間の幽閉は人間の心理にどのような影響を与えるのでしょう。「モンテ・クリスト伯」は脱獄後、復讐に余生を費やしました。「レ・ミゼラブル」で、マドレーヌと名を変えたジャン・ジャルバンは前科をひた隠しに隠し、発覚を怖れて過ごしました。
ロベン島の監獄でネルソン・マンデラは何を思ったでしょう。
古今東西の独裁者は個性派揃いです。周囲はイエスマンばかりで諫臣がいないため、独裁者の個性が増強されて浮き彫りになります。
かって軍事クーデターで大統領となったボカサは独裁を極め皇帝となりました。ボカサの帝政はクーデターであっけなく倒されましたが、その後も政状は安定せず、最近は緊迫の度合いを深めています。
独裁者の統治システムや悪行は打倒されて初めてその全貌が明かされます。北朝鮮の独裁者はどのようにして側近をコントロールしているのでしょうか。
かって軍事クーデターで大統領となったボカサは独裁を極め皇帝となりました。ボカサの帝政はクーデターであっけなく倒されましたが、その後も政状は安定せず、最近は緊迫の度合いを深めています。
独裁者の統治システムや悪行は打倒されて初めてその全貌が明かされます。北朝鮮の独裁者はどのようにして側近をコントロールしているのでしょうか。
27年も獄中にあったマンデラが将来の南アフリカにとって最善となる方策を示したことは奇跡のように感じられます。27年間も自由を奪われたことに対する恨みを即座に捨て去ることがなぜできたのでしょう。
長く対立や争いが続いた国を立て直すためには過去を忘れ、恕し、和解することです。しかしそれはとても難しく、多くの歴史がその逆の結果を示しています。
ネルソン・マンデラは自らの27年も、数百年にわたる黒人迫害の歴史をも恕しました。現代の奇跡です。
民族和解の理念はボスニア・ヘルツェゴビナやカンボジア、ルワンダでの紛争解決の際には受け継がれました。しかし、南アフリカほどの効果が上がっているでしょうか。これらの国にはマンデラがいませんでした。
長く対立や争いが続いた国を立て直すためには過去を忘れ、恕し、和解することです。しかしそれはとても難しく、多くの歴史がその逆の結果を示しています。
ネルソン・マンデラは自らの27年も、数百年にわたる黒人迫害の歴史をも恕しました。現代の奇跡です。
民族和解の理念はボスニア・ヘルツェゴビナやカンボジア、ルワンダでの紛争解決の際には受け継がれました。しかし、南アフリカほどの効果が上がっているでしょうか。これらの国にはマンデラがいませんでした。