雑草ハンター
雑草ハンター
知れば知るほど奥の深い雑草の世界。我が畑で日常的に目にしている草でさえ正体不明で、
にわか知識では太刀打ちできない感じです。それでも素性を暴いてみたい。
やがて興味の目は家の垣根を越えて広く外地へと転じられ、今度は息子とカメラを従えての雑草観察です。趣味の散歩も兼ねた一石二鳥のツアーですが、息子の目的は厄介な「夏休みの自由研究」をこの機会に片付けてしまうこと。動機の違う者同士が協力し合い、時には足を延ばして湿地や河原、山麓、砂地を探索します。
小さく可憐な花を咲かせる雑草を見つけてはカシャカシャッ。撮った写真は即日パソコンに取り込んで拡大し、細部まで観察します。この方法は大変有効で、肉眼では気が付かない特徴、例えば茎の毛やガクの向きまでが鮮明になります。こうして出会った雑草を調べていくうちに、花がついていない状態でも葉や茎の形状から何者かを識別できるようになりました。有名な引っ付き虫の正体はオナモミやヌスビトハギ、センダングサなどの実や種ですが、花が咲くことをご存知ですか?夏なのに成長を始めず、ロゼットのままで過ごすのんびり屋を見つけたりすると不思議と共感が湧くのでした。
「名もない雑草」などひとつも存在しません。岩場でも崖地でもレンガの隙間でも、そこに生える草にはアイデンティティーがあり、四季を彩る花々と共存しながら自らの春夏秋冬を全うしているのです。クリスマスリースの下、我が家の庭に点在するロゼットもまた聖なる日をひっそりと祝うのでしょうか。陽光きらめく春の早い訪れを願いながら。
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