歯科治療が決め手となる掌蹠膿疱症

学会・研究会 2023年12月12日

掌や足の裏に膿が溜まった嚢胞ができる掌蹠膿疱症ですが、この病気は掌や足の裏に原因があるわけではなく、口の中やのど、副鼻腔、腸の病巣感染が原因と考えられています。中でも口の中、特に歯やその周囲に病巣がある場合が約80%を占めます。そのため、掌蹠膿疱症を治すためには歯科治療が欠かせません。

歯やその周囲の病巣とはすなわち歯周病(辺縁性歯周炎)、根尖病巣(根尖性歯周炎)、親知らず(智歯周囲炎)のことです。これらの病巣に対して歯周治療、根管治療、抜歯といった治療をすることによって、難治性とされる掌蹠膿疱症が改善する、完治するといった患者さんが多くいらっしゃいます。難治性と言われるのは適切な歯科治療を受けていなかっただけなのかもしれません。というのも、掌蹠膿疱症の原因となる病巣は無症状の場合が多いためです。歯科で定期健診を受けていても、無症状の姿勢病巣に対しては経過観察されるだけの場合が多々あります。積極的に治療しても必ず良くなるとは見込めない場合は、治療せずに経過感圧するという方針が選ばれやすくなります。しかし、掌蹠膿疱症を治すためには無症状の歯性病巣であっても積極的に治療を開始する必要があります。場合によっては抜歯した方がよいという場合もあります。まだまだ使えそうな歯であれば抜歯を見送ろうという場合でも、掌蹠膿疱症がある場合は抜歯すべきなのです。