貧しき人びと

読書・趣味・家庭 2024年06月15日

ドストエフスキーの5大長編はとても読みごたえがありますが、処女作である『貧しき人びと』は気楽に読める小説でした。貧乏人の描写と言えば、『オリバー・ツイスト』『家なき子』に出てくる貧しい子どもたちを思い浮かべます。自分の力ではどうすることもできない絶対的な貧困にあえいでいました。それと比べるとこの小説の貧乏人はそれほどの切迫感がありません。2人の主人公も含めてひがみっぽい見方をする登場人物が多く、世知辛い世界が描かれています。精神的な貧しさを指し示すタイトルとなっているように感じました。