骨バイオロジーから挑む口腔機能の予防・維持・再生
生化学講座の西村理行教授の講演です。骨粗鬆症の予後は1年半から5年と大変悪いものです。転倒による大体骨頸部骨折が寝たきり、肺炎、死亡へとつながっていきます。高齢者のこのような骨折に伴う生命の危機に対して「骨卒中」という言葉が用いられるそうです。
骨粗鬆症からもたらされる骨卒中を防ぐためにビスフォスフォネート製剤、抗RANKL抗体(デノスマブ)が投与されます。ビスフォスフォネート製剤は骨のアポトーシスを抑えて骨吸収が起こりにくくする働きがあります。抗RANKL抗体にも同様の働きがあり、さらに破骨細胞の働きを抑え、骨吸収が起こりにくくなります。これらの薬により骨粗鬆症による骨卒中は軽減するのですが、顎骨壊死が発生する危険性があります。