受け口の手術後に続く舌の痛み

患者様の声 2014年03月05日

【相談者】2010年10月12日 20代 女性 M
6年前に、受け口の矯正と、下顎骨を切って後ろへずらす手術を受けました。目が覚めたときから左舌が腫れていないのに腫れている感じがし、(実際には腫れ ていません)徐々に感覚は戻ったのですがかなり鈍く、常にしびれていて、酸っぱい感じがします。左の歯を磨くだけで左舌に痛みが走ったり、痺れと痛みと 酸っぱさが耐えきれず、飴をなめて気を紛らわさないといけない状態がずっと続いています。
今日、ふと鏡を見ると左舌の一部が茶色くなっていました。以前にもたまに、こういうことはありました。また、これも依然からですが、左の舌には右舌に見られるような赤いぷつぷつや、生き生きとした赤色はみられず、なんとなく薄い紫のような色で、張りもありません。
さらに、感覚が鈍いだけでなく触ると痛みが走る症状は神経損傷後に起こる痛覚過敏で、残念なことに治療が困難なものであるとされています。
治療方法については、手術の直後であればビタミン剤などが有効ですが、6年も経った今となっては効果は期待できません。星状神経節ブロッ クとよばれる首への注射や抗うつ薬、抗けいれん薬などが有効な場合がありますのでペインクリニック、歯科麻酔科、口腔外科などでご相談されることをお勧め します。
当時の先生にこのことは伝えていましたが、「気のせいだ」と言い相手にしてもらえず、ビタミン剤をもらっただけでした。その後、ずっと怖 くて病院に行っていなかったのですが、この違和感がつらくてたまりません。何か治療法はあるのでしょうか?一度、受診した方が良いのでしょうか?
【回答】口腔外科総合研究所 樋口均也
受け口(下顎前突症)を改善するために下顎骨骨切り術を受け、その際に舌神経に損傷が生じたということですね。6年が経過しても感覚が鈍い状態が残存して いるのは、おそらくそのためでしょう。舌神経は舌の前方3分の2の知覚を司るため、損傷を受けると感覚(知覚)が麻痺してしまいます。また、鼓索神経とい う自律神経も走行していることから、自律神経に関係した症状も同時に出現する場合があります。それが、今回問題にされている酸味感などの味覚異常や、毛細 血管の透過性亢進による茶色の変色などの原因であると考えられます。