HIV関連唾液腺疾患
エイズ患者に見られる症状に「HIV関連唾液腺疾患」があります。両側の耳下腺や顎下腺が対称性に腫脹し、口腔乾燥を認める病気です。HIV感染者の3~50%と高い割合で出現します。
症状としてはシェーグレン症候群に似ていて、口唇生検で採取した口唇線の組織像でもリンパ球浸潤が観察されます。全身の各臓器に症状が現れることがある点も似ています。しかし、相違点もあります。口唇線組織中に見られるリンパ球を免疫染色でT4陽性細胞とT8陽性細胞とに分けると、その比(T4/T8)がシェーグレン症候群とは異なります。また、シェーグレン症候群に特異的な自己抗体である抗SSA抗体や抗SSB抗体が血清中に見られない点も異なります。
HIV関連唾液腺疾患の原因は今のところ分かっていない謎の病気です。