癌性潰瘍による口臭
臨床講演は松尾敬子先生(国立病院機構岡山医療センター)による「頭頸部がん患者の潰瘍臭に対するチーム医療としての取り組み」でした。頭頸部がんが進行すると腫瘍中心部の血行不良によりがん性潰瘍が生じます。ここから発生する臭いは激烈で、病室に入る際にはかなり気合を入れる必要があります。この臭いの原因物質はプトレシンやカダベリンであり、代表的な口臭原因物質でもあります。
国立病院機構岡山医療センターの口腔外科ではがん患者の潰瘍臭に対して、メトロニダゾール(フラジール)とグリセリン、シロップを混ぜた外用薬を作成し、患部に1日2回塗布しました。1週間後には臭いが消失し、病状が悪化して亡くなるまで臭いは消えたままでした。この薬を用いれば、がん病棟特有の臭いがかなり少なくなりそうです。