『失われた足跡』

その他 2017年04月07日

ニューヨークに住む作曲家の「わたし」が原始的な楽器の収集を目的として、ベネズエラのオリノコ川の上流域を探検する話です。辿り着いた原住民の集落に棲みつき、原住民の女性と暮らし始めます。 その土地で傑作を着想し、仕上げていき…<br><a class="read-more" href="https://koku-naika.com/precise_treatment/%e3%80%8e%e5%a4%b1%e3%82%8f%e3%82%8c%e3%81%9f%e8%b6%b3%e8%b7%a1%e3%80%8f.html">≫続きを読む</a>

ニューヨークに住む作曲家の「わたし」が原始的な楽器の収集を目的として、ベネズエラのオリノコ川の上流域を探検する話です。辿り着いた原住民の集落に棲みつき、原住民の女性と暮らし始めます。
その土地で傑作を着想し、仕上げていきました。皮肉なことに、その音楽を奏でる楽器も聴き入る聴衆もいません。そんな折に「原住民に拷問を受けている」と報道されていた「わたし」を捜索に来た飛行機が到着し、救出されてニューヨークに戻ったのです。
都会人と原住民とは結局、相容れることができない深い隔絶が存在しているということを思い知らされる作品です。カルペンティエルは「魔術的リアリズム」の創始者の一人とされますが、入植者と原住民との軋轢や殺人などのおどろおどろしいラテンアメリカの世界の様子がうかがい知れます。