エンジョイ
外国のレストランで料理が運ばれてきた際に英語を話すウェイターであれば「エンジョイ」と言い残して戻っていきます。「お待たせいたしました」「お待ちどうさん」の意味なのでしょうが、何か一言添えることで愛想よくしようということだと思います。
心理学用語で「ストローク」というのですが、相手との触れ合いのことを指します。日本人の私には言語的ストロークである「エンジョイ」という言葉掛けよりも、静かに見守ってくれる日本のウェイターの非言語的ストロークの方が居心地がよいのですが、国が変わればそんなものかなと思っていました。
それにしても「エンジョイ」といわれてまで食事を楽しまなければならないのかという違和感をうすうす抱いてもいました。フードライターのマイケル・ブース氏の文章に「撲滅したいレストランの罪」というものがありました。その第1位には「エンジョイ」が挙げられていて、楽しむと決めるのはあくまで自分、もし他人に言われようものなら、全力で楽しまないようにする、とありました。現地の人もやはりそう感じるようです。