ファーム富田の資料室
ラベンダーから注出されるエッセンシャルオイルは香水、洗濯物の香り付け、鎮痛・鎮静効果のある民間薬として重用されてきました。日本での生産は1970年に最盛期を迎えました。ところがこの時期に合成香料が安価に作れるようになり、原材料としてのラベンダーの商品価値はなくなり、1972年以降はほとんど生産されなくなりました。
そのような状況でラベンダー生産を続けたのはファーム富田のみでした。売る当てのないラベンダーを惰性で栽培していただけのようですが、ラベンダー畑が広がる風景が国鉄のカレンダーとなり、価値に転換が生じました。ラベンダー畑を目当てに訪れる観光客が押し寄せたようです。
商品として出荷できないラベンダーを自農園で商品化する努力を続け、ラベンダーオイルや石鹼、ドライフラワーとして観光客目当てに販売するようになりました。「残留者利益」「価値の創造」「ランテェスター戦略」といったところでしょうか。