温経湯
衝脈と任脈の働きで月経が正常に起こります。心や肝の血虚、腎虚といった理由で衝脈と任脈が空虚となると患者が侵入して(衝任虚寒)、気血が凝滞します。子宮内で瘀血が生じ、新鮮な血液が子宮に入らなくなるために女性気に関する様々な病気が生じます。
温経湯は呉茱萸、当帰、芍薬、川芎、人参、桂枝、阿膠、牡丹皮、半夏、麦門冬、生姜、甘草からなる方剤です。呉茱萸、桂枝は温経散寒、通利血脈、当帰、芍薬、川芎は養血調経化瘀、牡丹皮は清熱化瘀、阿膠、麦門冬は滋潤、人参、甘草は益気生血の働きがあります。衝任脈は陽明胃経に通じているため、半夏、生姜で胃気を調和する働きも加わっています。
したがって、冷え性かつ乾燥肌で、煩熱を伴う婦人科の病気に対して有効です。月経不順、月経困難症、不正性器出血、下腹部痛などが該当しますが、月経が正常化することで結果的に不妊症の薬としても用いられます。