近赤外線―光免疫療法

その他 2017年08月07日

昨日の新聞で紹介されていた癌の新しい治療法です。近赤外線―光免疫療法near-infrared photoimmunotherapy (NIR-PIT),は米国国立がん研究所(NCI)の小林久隆博士が研究リーダーとなって開発中です。その方法ですが、腫瘍特異抗原と結合する抗体を作成し、静脈内に注射します。この動画では腫瘍特異抗原として上皮成長因子に対する受容体epidermal growth factor receptor EGFR1.を用いています。
体内に注入された抗体はがん病巣表面に過剰発現しているEGFR1.と結合します。そこへ近赤外線をあてると腫瘍細胞表面に穴が開き、水が内部に入って膨張し、最後には破裂してがんが消失します。近赤外線は周囲の正常細胞には何のダメージも与えません。

がんが壊れた断片はキラー細胞によって抗原認識され、腫瘍免疫が働き転移や再発を防ぎます。しかし、このようなキラー細胞の働きは抑制性T細胞regulatory T cells (Tregs).によって妨害されてしまいます。
NIR-PIT)では腫瘍特異抗原と結合する抗体に加えてTregsと結合する抗体も作成し、同時に注射します。これにより、がんの周囲のTregsも破壊され、腫瘍免疫が働くようになります。
[youtube]https://youtu.be/3yuVw90AEhs[/youtube]