面疔の治療
興味深い診察の後は、渡航前から期待していた指圧です。先に地元の患者さんの診察を済ませるので、見学しておきなさいとのこと。いったん診察室を出て廊下でしばらく待っていたところ、隣りの処置室に呼ばれました。そこには先ほどの医師と、看護師か見習い医師と思われる若い女性がいます。そこへ初老のモンゴル人男性が入ってきました。どうやら、彼がこれから治療を受ける患者のようです。
男性患者が丸椅子に腰掛け、医師がその首を聴診器で挟み付けます。患者が自分の顎の下に膿盆を持ち、医師がメスで患者の鼻を突き指しました。患者の鼻を観察してみると赤く腫れており、どうも面庁のようです。メスを抜くと血膿が滲み出し、膿盆へ垂れ落ちていきました。そうして数分間かけて膿を出し、出なくなったところで聴診器を外して傷口にテープを当て、治療は終了です。聴診器は、頸静脈を圧迫して膿を出しやすくするための道具として使用されていたのです。
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