黒部の太陽

読書・趣味・家庭 2012年03月24日
NHKBSで放送された「黒部の太陽」を見ました。三船敏郎と石坂裕次郎が主演した黒4ダム建設時の苦労が表現されています。
 
子供の頃に黒千ダムの威容を見学し、松阪山岳会の頃には五竜岳を越えて黒部渓谷に降り立ったこともありました。そのたびに黒部川開発の困難さに思いを馳せていました。
 

この映画は石原プロに封印されていてテレビ放送されることもなく、レンタル店に並ぶこともありませんでした。いつかはみてみたい、しかし見る方法がない映画だったのですが、とうとう鑑賞する機会がやってきました。
 
映画の内容は期待していた通りでした。エキストラや重機の数は半端ではなく、トンネルを埋め尽くし全てを押しながす出水は恐ろしいものでした。フォッサマグナによる破砕帯を掘り進む工事は長雨の中を土まみれになって進んだ1981年のアルプス縦走を思い出します。台風が上陸するにもかかわらす無謀にも3000mに登ってしまい、  上で大雨にたたられました。パンツまでびしょ濡れとなり、夜はテントの中にまで入ってきた水溜りの中に浮かびながら寝ました(寝ようとしたけれどあまり眠れなかったのですが)。メンバーの一人は肺炎に罹り、回復に数ヶ月を要したものです。
 
数日間の苦行であった我が山行と違い、黒千の鉱員達は数ヶ月も黒い穴の中でずぶ濡れの流を苦闘しました。トンネルの崩落や出水、ガス中毒の恐怖にさらされながらです。ねずみや蚊、ヒル、ダニとも闘い、ドロだらけの手で食事を取るさまがまざまざと描かれていました。
 
映像の雄弁さを感じました。