網膜芽細胞腫

その他 2018年03月14日

小児がんの一つに網膜芽細胞腫(Retinoblastoma)という目にできるがんがあります。その中には遺伝性のものがあり、眼球を摘出して治しても後に骨肉腫や脳腫瘍(松果体腫瘍)ができたりするとても厄介な病気です。 私が大…<br><a class="read-more" href="https://koku-naika.com/precise_treatment/%e7%b6%b2%e8%86%9c%e8%8a%bd%e7%b4%b0%e8%83%9e%e8%85%ab.html">≫続きを読む</a>

小児がんの一つに網膜芽細胞腫(Retinoblastoma)という目にできるがんがあります。その中には遺伝性のものがあり、眼球を摘出して治しても後に骨肉腫や脳腫瘍(松果体腫瘍)ができたりするとても厄介な病気です。
私が大学院を卒業した1987年にRB1という原因遺伝子が発見されました。RBはRetinoblastomaから付けられたものです。その頃からこのRB1は全身の細胞に分布していて細胞周期に関係しているらしいということが徐々にわかってきました。
その後の研究でRB1は癌抑制遺伝子だということがわかりました。癌抑制遺伝子の発見第一号ということです。この遺伝子の働きが抑えられると癌が生じやすくなります。そのメカニズムは以下の通りです。
RB1遺伝子のプロモーター領域にはCpG配列というDNAの塩基配列部分があります。ちなみにプロモーターとはDNAからタンパク質が作られる際に読み込まれるDNAの最初の部分です。CpG配列にメチル基がくっつくメチル化という現象が生じるとタンパク質が作られなくなり、癌抑制作用が損なわれるのです。
「Rbはヒトの錐体細胞由来網膜芽細胞腫の発生を抑える」という科学誌『Nature」の論文です。
https://www.nature.com/articles/nature13813