フィラデルフィア染色体
大学3年生か4年生の頃に内科の授業でフィラデルフィア染色体という言葉を聞きました。当時は治すのが難しく死に直結する病気だった慢性骨髄性白血病患者の白血球にみられる異常な染色体のことです。この部分をターゲットにすれば有効な…<br><a class="read-more" href="https://koku-naika.com/precise_treatment/%e3%83%95%e3%82%a3%e3%83%a9%e3%83%87%e3%83%ab%e3%83%95%e3%82%a3%e3%82%a2%e6%9f%93%e8%89%b2%e4%bd%93.html">≫続きを読む</a>
大学3年生か4年生の頃に内科の授業でフィラデルフィア染色体という言葉を聞きました。当時は治すのが難しく死に直結する病気だった慢性骨髄性白血病患者の白血球にみられる異常な染色体のことです。この部分をターゲットにすれば有効な治療法が見つかるかもしれないと血液内科の先生が話していたような気もします。
フィラデルフィア染色体は9番染色体と22番染色体の一部がくっついて(転座)できたものです。この染色体の9番染色体部分にはabl遺伝子があり、22番染色体部分にはBCR遺伝子があってくっつき、BCR-abl遺伝子が生じていることがわかりました。ablはAbelsonマウス白血病ウイルスというレトロウイルスにコードされていて、増殖を刺激するがん遺伝子です。BCRは転座の切断点(break)がクラスター(cluster)のようによく生じる領域(region)という意味です。
BCR-abl遺伝子がコードするタンパク質はBCR-ablタンパクで、リン酸をくっつけて活性化するキナーゼ(リン酸化酵素)です。この働きを抑制するのがイマニチブ(グリベック)という分子標的薬で、慢性骨髄性白血病の特効薬となりました。
https://www.nature.com/articles/nm0596-561