オートファジーの機能
生物が飢餓状態に陥った際にこの危機を乗り越える手段の一つとしてオートファジーがあります。細胞内のタンパク質を分解してアミノ酸を作り、さらにこれを分解してATPというエネルギーを取り出すのです。
オートファジーには細胞内に侵入した細菌や毒素、細胞内の異常なタンパク質を除去して病気の発症を防ぐ役割もあります。A群レンサ球菌(溶連菌)やサルモネラ菌がオートファジーにより始末される様子が紹介されました。アルツハイマー病ではβアミロイドという異常タンパク質が脳細胞に蓄積しますが、これもオートファジーで取り除く仕組みがあります。冠動脈や頸動脈の血管内皮にコレステロールや脂肪が溜まり、粥腫(プラーク)といわれる軟らかい塊ができると心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。このようなプラークの形成もオートファジーが防いでくれます。
オートファジーには細胞内の新陳代謝(代謝回転)を行う働きもあります。この働きが衰えると、細胞が弱り病気にかかりやすくなります。代謝回転を続けることで健康長寿を保つことができるのです。