『内科で診る不定愁訴』
薄っぺらな本にしては3200円もすることに驚いたのですが、読んでみると十分にその値打ちがありました。本書は不定愁訴と見なしてしまいそうな症状の中に潜んでいる身体的な(内科的な)病気をいかに見つけ出すか、その方法論を解説したものです。
その方法として、炎症の有無、症状局在の有無の2要素で2×2のマトリックスに分けて考えることを提唱しています。不定愁訴とされてしまいやすい病気には種々雑多なものがあります。黄色肉芽腫、Q熱、フィシャ—病、22q12.2欠損症候群、血管内悪性リンパ腫、ウェルニッケ・コルサコフ症候群などなどです。
総合診療科医としては見落としがちな稀な病気をこのマトリックスを用いて拾っていこうということです。私にとってウィルソン病、シェーグレン症候群、亜鉛欠乏症、高カルシウム血症、ディスキネジアなど身近なものもありますが、病名は知っていても症状がわからないものや病名自体聞いたことがないものも含まれています。病気を知らなければ見落とすレベルにも達しません。まずは病気の勉強から始める必要があります。