『父と子』

その他 2018年11月10日

この作品には2組の父と子が登場します。一組目はロシア・マリーの村の貴族キルサーノフ親子です。二組目は近くの村のバザーロフ親子で二人とも医者です。父たちは1830年代に大学を卒業し、息子たちは1859年に大学を卒業しています。
1825年のデカブリストの反乱が制圧された後の1830年代はニコライ1世の反動政治の重苦しい時代でした。1859年はアレクサンドル2世の中道自由主義の時代であり、この小説の1859年の設定で書かれています。
抑圧された父たちとは異なり、子たちは社会主義やリアリズムに影響されます。その違いがこの小説を展開していきます。
私(1962年生まれ)と息子(2004年生まれ)の間にも小説とは異なったギャップがあるはずです。国内政治をみると、自民党一党独裁体制で育った私と一党他弱の現在を生きる息子との違いは明確ではありません。国際政治では、米ソ冷戦時代と中国が覇権を握りそうな現在では異なります。有線電話と白黒テレビの時代に育った私とスマホ世代の息子とでは共通意識を持ちようがないほどの開きがありそうです。