死の家の記録

読書・趣味・家庭 2014年07月25日

ドストエフスキーの獄中体験記だろうと思って読み始めました。解説を読んで完全な創作(小説)だったことを知りました。ドストエフスキーが入所した西シベリアにあるオムスク要塞監獄がその舞台となっています。

入所時には貴族を除いて鞭打ち500発や1000発の体刑を受けます。鞭打ちの間に死ぬ者もいます。囚人は入所してから出所するまで、足枷を嵌められ、外してもらえることはありません。頭を半分だけ剃られ、顔に入れ墨まで入れられます。さすがにここまでされると、脱獄して逃げおおせることは出来そうにもありません。

ドストエフスキーに言わせると、監獄の中でも最も厳しいところだそうです。しかし、『破獄』『塀の中の懲りない面々』などで描写されたような日本の刑務所と比べると、にわかには信じられないような自由があります。

ロシアの法律でも監獄への私物や私服の持ち込みは禁じられていて、見つかれば没収されても文句は言えないことになっているようです。ところが、多くの囚人が楽器や食器、工作用具などの私物を隠し持っています。密かにウォッカが持ち込まれ、密売され、宴会が開かれます。

町の住民から工芸品の作成などの注文が入り、生計を立てる囚人もいます。特殊な技能のサービスをするために、町に呼ばれて出て行く囚人もいます。売春婦が監獄の近くに現れ、それを買う者もいます。