スペクトロシェ-ド

歯の色は人によって微妙に異なるだけでなく、前歯や犬歯など歯の種類によっても違いがあります。セラミックの歯をかぶせたり、虫歯の穴にレジンを充填したりする場合には、それぞれの歯の色に合ったセラミックやレジンの色を選ぶ必要があります。ところが、これらの作業には経験や勘が必要なうえ、人間が行う限りどうしてもブレが生じてしまうのです。

スペクトロシェード

そんなとき頼りになるのがスペクトロシェードです。不確かな人の目に頼らず、精度の高い機械で歯の色を測定することができれば、歯の色を正確に再現することができます。この種の機械は幾つかありますが、その性能はまさにピンからキリまであります。中でも、スペクトロシェードは最も正確に色を判定する最高レベルの測定機といえます。

歯の色について
「白く輝く歯」や「明眸皓歯」など、歯といえば真っ白というイメージがありますが、実際の歯はそうではありません。試しに鏡で自分の歯をよく観察してみてください。白いといっても真っ白ではなく、やや黄色味を帯びているはずです。それが自然なのです。

歯の表面はエナメル質という半透明でガラス状の組織で覆われていますが、その内部には黄色味を帯びた象牙質があります。この象牙質が透けて見えるため、歯の色は淡い黄色になるのです。色についての感覚が鋭い人であれば、黄色だけでなく、オレンジ色や茶色、赤色、青色が混ざっていることに気付くでしょう。

スペクトロシェードによる色の測定

機械の先端を歯に当てハンドル部分のレバーを引くと、すぐに歯の色が画面に表示されます。歯の色にはA1、A2、A3、A3.5、A4、B1、B2、B3、B4、C1、C2、C3、C4、D2、D3、D4などがありますが、スペクトロシェ-ドはどの色(シェード)かを一瞬で表示します。また、歯の先(切端部)、真ん中(歯冠中央部)、根元(歯頚部)の3か所に分けてシェードを表示したり、限定された小さな範囲でそれぞれの色を表示できる機能も付いています。

スペクトロシェード2

色の3属性
色には三つの要素(色相、明度、彩度)があり、この三つの要素(属性)に分けて判定します。色相とは赤や青など色味の違いを意味し、私たちは通常この色相で色の違いを判断しています。明度とは色の明るさを指し、最も明度が高い色は白、最も低い色が黒です。また、彩度とは色の鮮やかさをいい、原色は彩度が高く、色が混ざってくすんだ色になると彩度は低くなります。

色差式
国際照明委員会(CIE)が全ての色を数値で表す方法を規定しています。この計算式をCIE色差式といい、L*a*b*を用いて表示します。L*は明度で基準色は40.4です。明るい色ほどL*が大きく、暗い色では小さくなります。a*は赤―緑を表し、赤はa*が大きく、緑は小さくなります。またb*は黄―青を表し、黄はb*が大きく、青は小さくなります。