食生活の変化

困ったことに最近、伝統的な遊牧民の保健医療状況にだんだんと悪い変化が現われているらしいのです。南ゴビ旅行後半の道中、運転手を務めてくれたプテヴさんによると、かつては少なかった腎疾患や高血圧症が急増中とのこと。どうやら、食生活の変化が原因のようです。
昔ながらの遊牧生活における主食は、お米でもパンでもなく乳製品です。バターやチーズ、ヨーグルト、ミルクを常飲常食し、牛乳焼酎や馬乳酒(アイラグ)などを楽しみます。冬場は草が枯れて動物の乳の出が悪くなるため、夏場に作り置きした干し肉を食べて冬を越すそうです。
ちょっと意外な気もしますが、今どきの草原のゲルには電気が通り、テレビや冷蔵庫が普及しているのです。電気は太陽電池や自家発電によって得る場合もありますが、いずれにしても遊牧生活に電気が登場したわけです。そこで何が起こったのか?冷蔵庫で肉が保存できるようになり、一年中肉を食べられるようになったため、乳製品を以前ほど食べなくなったそうです。これこそが腎疾患や高血圧症を増加させている原因だと、プテヴさんは強調していました。

ゲルの中には電化製品が幾つも見られました。27年前にシルクロードのカザフ族のパオに泊まった際は一切文明の機器がなかった記憶があります。

テルレジの近くの遊牧民のゲル

ゲルの梁には羊や牛の肉が干してありました。


食料品店では意外と野菜の品ぞろえが豊富でした。

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