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チーズでむし歯予防!?

プラーク中のpH

午後の診療後、急いでその日のカルテの整理や届いた郵便物とメールへの対応、明日の診療の準備を終えて帰宅しました。そして、チーズの検証実験準備の第一歩としてWHOのレポートや元となる論文を探しましたが、いくら探しても見つかりません。Google Scholarで論文を探すのは諦めて、GoogleでWHO絡みのニュースを探してみましたが、こちらも埒があきません。一体、根本さんはどこでその情報を入手したのでしょうか。
WHOの件は諦め、今度はチーズとむし歯の関係を調べてみることにしました。そこで大きな勘違いに気付きました。飲食後に口の中が酸性化し、その後唾液の働きにより徐々に中性に戻ることは前にも書きました。1940年にステファンがオレンジジュースを用いた実験で明らかにした事実であり、時間の経過とともにpHの変動を示す曲線もステファンカーブと呼ばれています。そこで、チーズを食べる場合と食べない場合の両方の唾液のpHを調べ、ステファンカーブの変化を見てみたらわかるのではないかと漠然と考えていましたが、ステファンが調べたのは唾液のpHではなく、プラークのpHだったのです。学生の頃は習い覚えていたはずのことを、すっかり失念していました。根本さんからの電話を受けた時点では、ステファンカーブは口腔内のpHを示すものだと考えていたので、サリバテストで調べることができると思い込んでいたのです。

プラーク中のpHも口腔内のpHには相違ないため、唾液や口腔粘膜表面のpHがプラーク中のpHと同じように変動すれば何も問題はありません。そうであれば、電話中に口腔内pHイコール唾液pHと勘違いして受け答えしていたことが、運よくまかり通ることにもなります。