プラーク中pHの測定
朝の診療が始まりました。来院される患者さんは治療とメンテナンスの2種類に分けることができます。メンテナンスとは治療終了時のよい状態(良好な口腔内環境)をできるだけ長く維持する予防プログラムです。メンテナンスには患者さん自身が行う口の中の手入れ、即ちホームケア(セルフケア)と定期的に歯科医院を訪れて受けるプロフェッショナルケアがあります。プロフェッショナルケアでは専用の器具を用いて歯をきれいにしたり、フッ素で歯をコーティングしたり、粘膜のケアをしたりします。このプロフェッショナルケアは正式にはプロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニングといい、通常PMTCという略語で表されます。
その日の朝一番に来られた患者さんに協力をお願いし、歯面に付着したプラークを採取しました。これをpHメーターであるチェックバフの計量皿に塗布してpHを測定しましたが、表示される数値が激しく変動し、いつまでたっても安定しません。チェックバフは唾液のpHを測定するために開発された機械です。やはり液体でないプラークを少量塗布しても、そのpHを計測できないことが判明しました。
もう一度患者さんにお願いしてプラークを採取し、蒸留水と混和して懸濁液を作りました。これをチェックバフで測ると今度はしっかりと結果が表示されました。また、採取したプラークをリトマス試験紙に塗布すると塗り広げた部分の色が酸性を示す赤に変化しました。このふたつの方法でプラーク中のpHを測定できると分かり、安心しました。
この予備実験や朝の患者さんの診療に忙殺されているとき、検査会社BMLからの回答が返ってきました。唾液中のカルシウム濃度を正確に測定できるかどうかはわからないが、トライしてくれるということです。採取した唾液を入れるのは、普段クリニックで血液検査の際に使用している試験管のうち、生化学用のものに入れればよいということでした。