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チーズでむし歯予防!?

むし歯の仕組みと唾液の働き

テレビ取材の話を進める前に、むし歯がなぜできるかについて説明しておきます。むし歯を作るのはミュータンス菌(streptococcus mutans)です。飲食物に含まれる砂糖(ショ糖)がミュータンス菌の栄養となり、ショ糖が分解されて歯垢(プラーク)と酸が作られ、この酸が歯を溶かして穴を開け、むし歯(う窩)ができるのです。

実は、ミュータンス菌が作り出す酸は唾液の緩衝作用によってすぐ中和されます。唾液は酸性の物質もアルカリ性の物質も中性に変化させる働きがあり、これを緩衝作用といいます。なぜこのようなことが可能なのか?その秘密は唾液中のタンパク質の構造にあります。タンパク質の両端にはカルボキシル基とアミノ基が付いていて、カルボキシル基はアルカリ性物質を中性に変え、アミノ基は酸性物質を中性に変えることができるからです。

例えば、オレンジジュースのような酸っぱい飲み物は強い酸性です。そのため、オレンジジュースを飲んだ後は口の中が一気に酸性になりpHが低くなりますが、この状態が長く続くことはありません。唾液の緩衝作用で速やかに中性に戻るからです。しかも条件がよければ1分以内に中性化し、pH7に戻ります。

このように、口の中は唾液の緩衝作用によって常に中性の状態にキープされているため、どんなに酸性のものを食べてもむし歯にはなりません。また、酸性でなくても砂糖分を摂ればミュータンス菌の働きで酸が生じますが、この酸も唾液の力で中和されることは前述した通りです。